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人生を切り離されたフィクション

作品を著わした筆者が、なぜ同じ芥川賞受賞者(しかも、似た様に、戦前・戦後の若者の自己表現の変容を風刺したような 青春小説)から、酷評を受けて 一触即発のような関係になっていたのか、

これも、父親を早くに失って 母子家庭で育っている作者と、家父長制度の典型のよ うなスパルタ教育の家庭で育った、エリート一家(という自負を持つ作家)の、男性価値の葛藤のようにも思えて、大変、興味深い ”男らしさ”の価値観の対 比だと感じました。

田中慎弥氏の『共喰い』には、自分自身のリアルな母子関係と喪失した父子関係との葛藤が反映されており、その複雑な感情が芥川賞の審査員であった家長的・権威的な石原慎太郎氏に向けられた可能性は確かにあるかもしれませんね。

現代の文学は『作家の履歴・人生を切り離されたフィクション』が大半ですが、田中慎弥氏のような私的事情を昇華・投影させながら紡ぐタイプの作家というのは極めて珍しくなってきているとは思います。

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